キュービクルの電気容量と電気料金の関係ってどうなる?
キュービクルがあると電気料金はどう決まる?
キュービクルを設置している店舗や工場は、基本的に高圧契約で電力を使用しています。
この高圧契約では、低圧契約(家庭用・小規模店舗)とは電気料金の考え方が大きく異なります。
特に重要なのが、「電気料金は、キュービクルの大きさではなく“最大需要電力”で決まる」という点です。

高圧契約の基本料金は「最大需要電力制」
高圧契約の多くは、最大需要電力制(デマンド契約)が採用されています。
最大需要電力とは?
- 30分間の平均使用電力(kW)
- それを過去1年間分さかのぼって比較
- 最も大きかった値が「最大需要電力」として採用される
この最大需要電力に、電力会社ごとの単価(例:1kWあたり1,600〜2,000円程度)を掛けたものが、毎月の基本料金になります。
「ある月の使いすぎ」が1年間影響する仕組み
多くの人が見落としがちなポイントです。
たとえば、
- 夏の猛暑日に
- 空調をフル稼働させながら
- オーブンや大型機器を同時使用
この結果、30分だけ電力使用量が跳ね上がったとします。
このときの数値が、その後1年間、最大需要電力として記録され続けます。
丸山つまり、翌月から節電しても電気をあまり使わない月が続いても過去1年で一番大きかった30分が基準なので、基本料金はすぐに下がりません。
キュービクルの「容量」と「電気料金」は別物
ここで混同されやすいのが、キュービクルの容量(kVA)=電気料金が決まるという誤解です。
実際は以下のような関係です。
キュービクル容量: 使える上限(器の大きさ)
最大需要電力:実際にどれだけ使ったか
キュービクルを大きくしても、
最大需要電力を抑えられれば、基本料金は上がりません。
逆に、キュービクルの容量に余裕があっても、一度でもピークを出すと基本料金は上がるのです。


電気料金を左右するのは「使い方」
そのため、高圧契約では次のような運用が非常に重要になります。
- 空調・オーブン・製造機器を同時に立ち上げない
- ピークが出やすい時間帯を把握する
- デマンド監視装置で使用量を見える化する
- 将来の設備増設を見越した適正な容量設計



「キュービクルがある=電気代が高い」ではなく、
「電気の使い方を管理できていない=電気代が高い」
という構造です。
まとめ
キュービクルと電気料金の正しい関係
- 高圧契約の基本料金は「最大需要電力」で決まる
- 最大需要電力は「過去1年間で最も電力を使った30分」
- 一度のピークが、1年間の電気代に影響する
- キュービクル容量そのものが、料金を決めるわけではない
キュービクルを導入・運用する上では、設備よりも「運用設計」が電気料金を左右するという視点が欠かせません。
キュービクルの設置に迷ったらまずは当社にお問い合わせください!
【この記事の監修】
株式会社エネシフト(キュービクル回避ネット運営会社)
丸山 賢司 電気容量コンサルタント/国家資格:第二種電気工事士
約20年建築関連や電気関連の職務に従事。
製パン・製菓業界を中心にキュービクル回避を始め電気容量コンサルタントして数多くの店舗、会社を支援。
現在は業界外の電気容量対策支援とキュービクル回避の普及を行っている。
「自分の仕事で誰かを幸せにする」をモットーに日々の職務に励んでいる。



