キュービクルの設計で将来の増設を見込める?
「今はこれで足りてるけど、将来オーブンを増やしたら…?」
「移転じゃなくて、いまの場所で機器増設したいんだけど」
そんなときにカギを握るのが、キュービクルの“余力”です。今回は、「将来の機器増設にキュービクルは対応できるのか」という疑問に、
電力と設備の視点から答えていきます。
キュービクルの“容量”とは?
危険性はある?
キュービクルは、店舗に高圧で送られてくる電気(6600V)を店内で使える電圧(200Vや100V)に変換する“変電設備”です。
このキュービクルには「受電容量(kVA)」という定格があり、これは「そのキュービクルが一度に供給できる電気の上限」を意味します。
例えば
50kVAのキュービクル → 同時に使える電力は 約40kW前後(変換ロス等を除く)
75kVAなら → それより余裕あり
100kVA以上 → 大規模なパン屋・工場でも対応
この容量が限界を超えると、ブレーカーが落ちたり、設備が停止したり、最悪の場合キュービクルの焼損・火災の原因にもなり得ます。
最初から「増設を見込んだ設計」はできる?
できますが条件があります。以下のような設計や施工上の配慮が必要です。
✔ 余裕ある容量選定(将来の電力使用を想定)
例:
現状は日商5万円規模のパン屋でも、「将来セントラルキッチン化」「2階に菓子製造スペース増築」などを見越して、最初から容量に20〜30%の余裕をもたせておくと安心です。
✔ 配電盤・分電盤にも空き回路を確保
キュービクル本体だけでなく、店内の分電盤にも空き回路(予備ブレーカー)を用意しておくと、将来的に機器を追加する際に大がかりな工事を避けられます。
✔ トランスや遮断器のモジュール構成を選定
機器構成によっては、「将来トランスだけ大型に交換できる」仕様や、遮断器(ブレーカー)の増設がしやすい設計にしておくことも可能です。
増設を見込んでいないキュービクルの場合は?
パン屋や飲食店では、居抜き物件などで「既存のキュービクルをそのまま使っている」ケースも多いです。
この場合、あとから増設しようとしても、容量オーバーという問題が起きがちです。
判断ポイント
チェック項目 | 対応策 |
---|---|
現在のキュービクル容量が小さい(例:30kVA) | 50kVAの容量への更新が必要になる可能性あり |
新たに電気オーブン・スチームコンベクションオーブンなどを導入予定 | 同時使用電力量を試算しておく |
キュービクル設置から20年以上経過している | 更新タイミングで増容量も検討可 |
既設キュービクルの容量や空き状況は、点検会社に確認できます。
設計・増設にはどんな費用がかかる?
キュービクルの容量増設・機器増強には一定の費用が発生します。
内容 | 概算費用(目安) |
---|---|
キュービクル交換(容量アップ) | 約200〜400万円 |
分電盤のブレーカー追加 | 約10〜30万円 |
新規機器の回路引き込み工事 | 約5〜20万円/回路 |
電力会社への申請・契約変更 | 数万円+工事期間 |
また、容量増設に伴い「基本料金」も上がる可能性があるため、運用コストのシミュレーションも重要です。
今後の拡張に向けて店舗・事業所ができること
店舗側で押さえておくべき3ステップ
- 「今の電力使用量」と「主な機器の消費電力」を把握する
→ オーブン・フライヤー・冷蔵庫などの消費電力(kW)を確認 - 今後の機器導入予定(2年・5年後)を想定する
→ 「あと○台オーブン増やすかも」など将来像を具体化 - 専門業者に相談して“将来余裕あり設計”を依頼
→ 「予備を考慮して設計してください」と伝えるだけでOK
今後の拡張に向けて店舗・事業所ができること
- キュービクルは将来の拡張を見込んで設計できる
- 余裕のある容量選定、配電盤の空き、モジュール構成がポイント
- 現在の設備に余裕がない場合は更新か容量アップを検討
- 設計時点で「これからどうしたいか」伝えることが何より大切になります
キュービクルの設置に迷ったらまずは当社にお問い合わせください!