1台のキュービクルを複数テナントでシェアしてもいい?“共用受電”の仕組みと注意点
商業ビルや複合施設では、1つの建物に複数のテナントが入るのが一般的です。
そこでよく出てくる疑問が、「このビルのキュービクル、他の店舗と一緒に使って大丈夫?」「電気の管理や料金はどうなるの?」ということです。
今回は、キュービクルを複数のテナントで共用することの可否と、その際の注意点について解説します。
複数テナントで1台のキュービクルを使うことは可能
結論からいえば、1台のキュービクルを複数の店舗・事業者で共用することは可能です。
この仕組みは「高圧一括受電方式(高圧一括受電)」と呼ばれ、マンションやテナントビルなどで広く導入されています。
- ひとつのキュービクルで6,600Vの高圧電力を一括で受電
- キュービクル内で低圧(100V/200V)に変圧し、各テナントに個別配電
- 電力の使用量は、テナントごとの電力量計(メーター)で計測
つまり、「ビル全体で高圧を受け取り、各店には通常の電圧で供給」することで、効率よく電力を分配できる仕組みになっています。
共用だからこそ得られるコスト削減と管理の効率化
複数テナントでキュービクルを共用することには、以下のようなメリットがあります。
初期費用 | キュービクル設置費用がビル全体で一括投資されており、テナント側は不要 |
ランニングコスト | 電気基本料金が高圧契約(業務用)で割安になりやすい |
管理負担 | キュービクルの点検・保守はビル側が一括対応することが多い |
とくに飲食店など電力使用量が多い業種では、こうした共用によって高圧契約の恩恵を受けられる可能性が高まります。
【注意点】ビル側との契約形態によって運用は異なる
ただし、共用であるがゆえにいくつか注意点があります。
契約形態や請求方法がビル側に委ねられることが多く、以下の点を確認しておくと安心です。
契約の主体は誰?
- 「電力会社と契約しているのは誰か?」によって、以下の2パターンに分かれます。
- ビルオーナーが一括で電力契約 → テナントには再販売(転売)
- 電力会社が各テナントと直接契約(個別契約)
請求や使用量の内訳は?
- 「どのくらい使っているか」は**個別メーター(子メーター)**で計測されることが一般的。
- 共用部分(廊下照明・空調など)の電気代が含まれているかどうかも要確認。
自社での高圧受電に切り替えたい場合は?
- 原則として、キュービクルがビル共有物である場合、個別切り替えは困難。
- 専用キュービクル設置が必要になるケースもあるため、初期投資と物理スペースの確保がハードルに。
【実務視点】退去・入居時に気をつけたいこと
- ビルの契約電力容量(kVA)が既に満杯だと、新しいパン屋さんが入居しても希望通りの機械が使えないことも。
- 逆に退去時には、容量を“解放”する手続きが必要になる場合も。
- 必ず、入居前に「現在の受電設備の空き容量」と「希望する機械の使用電力」を業者に相談しましょう。
まとめ
キュービクルを複数テナントで共用するのは、高圧一括受電という仕組みにより可能であり、一般的でもあります。
初期費用やランニングコストの面でメリットが大きい一方で、契約形態や電力量の内訳、将来的な増設可否などには注意が必要です。
入居する際には、「電気がどこからどう来ているのか?」という点も、事前に確認しておくことが安定した営業のカギになります。
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