キュービクルって誰が所有者になるの?─責任の所在と契約関係を整理

「キュービクルって電力会社のもの?」「ビルのオーナー?それともテナント?」
所有者の認識が曖昧なまま設置してしまうと、保守・点検やトラブル時の責任問題につながります。本記事では、キュービクルの所有者と責任範囲、契約関係についてわかりやすく解説します。

キュービクルは“需要家の所有物”

電力会社が所有するのは供給用の電柱や引込線までであり、キュービクルは電気を受ける側(需要家)が所有・管理する設備です。

  • 工場や店舗:事業者(オーナー)が所有者
  • 賃貸ビル:ビルオーナーが所有し、テナントに電力を分配
  • 自社ビル:企業自身が所有し管理

所有者の義務

キュービクルの所有者には以下の法的義務があります。

  • 電気主任技術者の選任:自家用電気工作物を安全に管理
  • 定期点検の実施:月次・年次点検を委託または実施
  • 保安管理責任:事故や漏電時の一次責任

所有者は法令上「設備の安全管理者」として責任を負う立場です。

賃貸ビル・テナントの場合

  • キュービクルは通常ビルオーナーが所有
  • ビルが「高圧一括受電契約」を結び、テナントごとに低圧で分電
  • テナントは電力使用分を管理会社経由で負担する→ この場合、テナントは直接キュービクルに触れず、点検費用は共益費や管理費に含まれるのが一般的

リース契約の場合

  • キュービクルをリース契約で導入する企業も増加
  • 所有権はリース会社にあり、保守・更新契約もセット
  • 契約終了時に返却、または再リース・買い取りを選択

リースなら初期コストを抑えられる一方、契約条項による制約が多いため要確認です。

所有権が曖昧なときのトラブル

  • 建物売却時に「キュービクルの所有権をどちらが持つか」で紛争
  • テナント入れ替え時に保守契約が未承継で点検漏れ
  • PCB含有機器の廃棄費用負担を巡る対立

契約書や図面で所有者を明確にすることが重要です。

所有者を確認する方法

  • 設備の銘板:設置年月・所有者名が記載されている場合あり
  • 建物の管理規約・売買契約書
  • 電力会社や保安協会の契約情報
  • 設計時の施工図面・申請書類(電気工事業者が保管)

まとめ

キュービクルは原則として需要家(オーナー側)の所有物であり、その責任も所有者に帰属します。
ビルやリース契約では管理権限や保守範囲が複雑になるため、契約書類で責任分担を明確化することが不可欠です。

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