高圧契約ってキュービクル必須？

「高圧契約にした方が電気代が安くなるらしい」「でもキュービクルが必要って聞いて不安」──そんな疑問を抱えている事業者の方は少なくないでしょう。高圧契約を選ぶとキュービクルは本当に必須なのか？なぜ必要になるのか？この記事では、高圧契約とキュービクルの関係を“契約制度”と“運用コスト”の両面から解説します。

そもそも“高圧契約”とは？

電力契約は、大きく分けて以下のように区分されます。

	低圧契約	高圧契約	特別高圧契約
契約電力	50kW未満	50kW以上	2000kW以上
主な業種	一般家庭や小規模事業者	商業施設、工場、飲食チェーン	大規模工場やデータセンターなど

この「50kW」を超えると、自動的に高圧区分となり、受電電圧が6,600Vに上がります。

なぜ“キュービクルが必要”になるのか？

結論から言えば、高圧契約を選ぶなら、キュービクルは必須です。
なぜなら

• 電力会社は6,600Vで電気を供給
• 一般的な機器は100V・200Vでしか動かない
• よって、施設側で「変電」する必要がある

この変電を担う設備こそが、高圧受電設備＝キュービクルです。
つまり、高圧契約＝キュービクル前提の契約体系ということになります。

どういう施設が“高圧契約向き”なのか？

以下のような条件に当てはまる施設では、高圧契約の方が適しています。

• 使用電力が常時50kWを大幅に超える
• 延べ床面積が大きく、電灯・空調・給湯などの負荷が高い
• 施設内に多数のテナントやユニットがある（複合施設など）
• 複数の動力設備を稼働させている

特に大きい食品工場・大型飲食店舗・病院などは、高圧契約になる可能性が高いです。

高圧契約のメリットとデメリット

【メリット】
  電力量料金が低い（単価が低圧より約2〜3割安い）
  基本料金が固定で見通しが立てやすい（デマンド制）
  複数回路の同時使用が可能（余裕ある容量）

【デメリット】
  キュービクルの初期費用（300万〜800万円）
  年次点検などの保守コスト
  故障時の対応負担（停電リスク）

このように、高圧契約は“単価の安さ”だけで判断せず、イニシャル・ランニングコストの総合評価が必要です。

高圧契約と電子ブレーカーは共存できる？

高圧契約は「契約電力の下限が50kW以上」とされているため、電子ブレーカーで契約電力を下げるという運用はできません。
電子ブレーカーはあくまで低圧契約の中での基本料金削減策であり、高圧契約の世界では意味を持ちません。

まとめ

高圧契約を選ぶなら、キュービクルの設置は必須です。これは「設備が高圧を受ける仕組みを持っていないと契約そのものが成立しない」ためであり、決して選択制ではありません。
ただし、電気料金の単価を抑えられるという大きなメリットがあるため、電力使用量が多い事業者にとっては長期的にお得になる選択でもあります。

重要なのは、自社の使用電力量・施設の規模・将来の増設計画を踏まえて、高圧契約が本当に適しているかどうかをプロとともに検討することです。

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