キュービクルがいらない業種ってある?

高圧受電設備、いわゆる「キュービクル」は、店舗や工場などで電力を大量に使う場合に必要とされます。しかし、すべての業種・事業者がこのキュービクルを設置しなければならないわけではありません。では、どのような業種・業態が「キュービクル不要」なのでしょうか?キュービクルが必要ない業種の特徴や判断の基準について、解説します。

キュービクルが必要なのは“高圧契約”のとき

まず大前提として、キュービクルは高圧受電を行う場合に必要となる設備です。つまり、電力会社から高圧(6,600V)で電気を受け取り、それを施設内で使える電圧(200Vや100V)に変換するために設置されます。したがって、一般的な低圧契約(主に50kW未満の電力使用)で運用できる事業者であれば、キュービクルは必要ありません。

キュービクル不要な代表的な業種

電力使用が少ない、または一時的な業種・業態では、基本的にキュービクルは不要です。代表的な例は以下の通りです。
(※以下はあくまで一例です。キュービクルが必要な場合もあります。)

小規模な小売店舗や飲食店(コンビニ、カフェなど)
事務所だけのオフィス(PCや照明中心の使用)
美容室、整体院、教室など個人事業レベルのテナント
移動販売車や仮設イベントスペース
小規模なクリニックや保育園

これらの業種では、電気使用量が50kW未満に収まるケースが多く、低圧契約で十分対応可能です。そのため、わざわざ高額なキュービクルを設置する必要がありません。

意外と必要”な業種とは?
一見、電力をそれほど使わなさそうに見えても、実は高圧契約が必要な業種もあります。たとえば以下のようなケースです。
ベーカリーや製菓店:電気オーブン、発酵機、冷蔵庫など高出力の機器を多く使用するため、合計出力が50kWを超える場合が多い。
クリーニング工場や大型コインランドリー:大型乾燥機や業務用ボイラーを複数稼働させると一気に電力消費が上昇。
美容室のチェーン店や複数階テナント:照明、給湯、空調、複数のドライヤーなどで出力がかさみやすい。
24時間営業のコンビニや飲食店:冷蔵・冷凍設備を複数保有していると、思いのほか高圧契約ラインを超えてくることも。
こうした業種は、意外にもキュービクルが必要な“グレーゾーン”となりやすいため、出店時には設備容量を事前にシミュレーションしておくことが重要です。

キュービクル不要でも要注意なケース

低圧契約で運用している場合でも、以下のような点に注意が必要です。

分電盤容量が不足して設備が同時使用できない:将来的に機器を追加したいときに制限になる可能性。
契約電力の上限でブレーカーが落ちやすい:生産機器や厨房機器を同時に使うタイミングで、使用制限が発生する。
電力料金単価が高い:低圧契約は基本料金は安いものの、単価が高めのため、使用量が多いとかえって高くつく場合も。

つまり、「キュービクルがない=電気的にラク」ではなく、「使い方に合わせて設備を選ぶ」ことが重要になります。

どう判断すべき? キュービクル導入の分かれ目

キュービクルの導入は、設備投資として決して安くありません。しかし、運営する店舗や施設の総電力使用量が50kWを超える見込みがあるかどうかが判断の基準になります。

出店や事業拡張時に次のような質問を自問するとよいでしょう: ・電気を大量に消費する機器を複数導入予定か? ・営業時間や営業日数は長時間・長期間にわたるか? ・将来的に設備追加の予定はあるか?

このあたりを踏まえたうえで、電気工事会社や電力会社と相談し、キュービクル設置の要否を判断していくことが大切です。

まとめ

キュービクルは、すべての事業者に必要なわけではありません。
低圧契約で運用できる事業者や業種は多く存在し、キュービクル不要で開業可能です。ただし、業種や設備構成によっては必要になることもあるため、「ウチは大丈夫」と思い込まずに、まずは専門家にシミュレーションを依頼してみることが、失敗しない選択への第一歩です。

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