キュービクルがあると電気代安くなる?
「キュービクルを設置すると電気代が安くなるらしい」
そんな話を聞いて、導入を検討している方も多いのではないでしょうか?
しかし実際には、設置には数百万円単位の費用がかかることもあり、「本当に電気代が安くなるの?」と疑問に思うのも当然です。
結論から言えば、“電気使用量が多い施設では、長期的に見て電気代が安くなる可能性はあります”です。
この記事では、その仕組みと注意点を、数字とともにわかりやすく解説します。
なぜキュービクルがあると「安くなる」と言われるのか?
キュービクルの有無で変わるのは、電気の契約形態=「低圧契約」か「高圧契約」かという点です。
この契約の違いにより、電気料金の“単価”が変わります。
契約形態 | 契約対象 | 電圧 | 単価の傾向 | キュービクル必要? |
---|---|---|---|---|
低圧契約 | 一般家庭、小規模店舗 | 100V/200V | やや高い | 不要 |
高圧契約 | ビル、工場、飲食大型店 | 6,600V | 単価が安い | 必要 |
つまり、同じ電気を使っても、契約が違えば支払う電気代が変わるのです。
単価の違いをシミュレーションしてみる
実際の数字で比べてみましょう(※2024年現在の平均的な価格で試算してみました)
【低圧契約の場合】
従量料金単価:30円/kWh前後
基本料金:ほぼなし
年間消費電力量:100,000kWh
→年間電気料金:約3,000,000円
【高圧契約(キュービクルあり)の場合】
従量料金単価:24〜26円/kWh
基本料金:1,500円〜2,000円/kW(契約電力50〜100kWで月10万円前後)
年間電気料金:約2,600,000〜2,800,000円
電気使用量が多ければ多いほど、高圧契約(=キュービクルあり)が安くなります。
重要なのは「初期費用と回収年数」
キュービクルの設置費用は、300万〜1,000万円程度(容量・設置条件による)と言われています。
この費用を電気代の削減分で何年で回収できるか?が導入判断のポイントです。
例:設置費用600万円、年間削減額30万円の場合→回収まで約20年
例:設置費用500万円、年間削減額60万円の場合→回収まで約8.3年
さらに、
リース契約(月額2万〜8万円)
補助金活用(再エネ、省エネ支援事業など)
を使えばキャッシュフロー負担を抑えつつ導入が可能になります。
ただし、キュービクルの耐用年数は15年~20年と言われているのでそこも踏まえて検討することが重要です。
電気をあまり使わないと逆に損?
これは非常に重要な視点です。
電気使用量が少ない業態・時間帯使用が限られる施設では、キュービクル設置のメリットが出にくい可能性があります。
たとえば
- 学習塾(夜間のみ営業)
- 美容室(コンパクトな空間)
- ギャラリー・小売店(設備が少ない)
→ 年間使用量が50,000kWh未満であれば、単価の差よりも維持費の方が高くつくこともあるため要注意です。
まとめ
「キュービクルがあると電気代は安くなるのか?」という問いに対しての答えは、「はい」ですが、条件次第です。
初期投資は高いが、リースや補助金で導入ハードルを下げられる
ただし、使用量が少ない施設では「かえって割高」になる場合もある