キュービクルの構造について Vol.5

キュービクル回避の担当、丸山です。(国家資格:第二種電気工事士)
こちらでは、キュービクルについての情報や「キュービクル回避」について私が担当した事例などをまじえ詳細をご紹介していきます。


今回はキュービクルに異常が発生した際に回路を遮断し、火災や設備の破損を防ぐために不可欠な部分である「保護装置」について詳細を見ていきたいと思います。

キュービクル(高圧受電設備)の保護装置は、異常時に電気設備を保護し、安全を確保するための重要な構造の一つです。

1. 保護装置の役割とは?

電気設備には、過電流・地絡・短絡(ショート)などの異常が発生するリスクがあります。
これらの異常を検知し、事故を未然に防ぐのが保護装置の役割です。

保護装置の目的

異常時に電流を遮断し、設備の損傷を防ぐ
感電・火災・停電のリスクを軽減する
電力会社や契約者側の機器を保護する

2. 主な保護装置の種類と機能

キュービクルに組み込まれる主な保護装置を、5つに分けて解説します。

① 過電流継電器(OCR: Over Current Relay)

役割:過電流(オーバーロード)を検知して回路を遮断する

どんなときに動作する?

設備が過負荷状態になったとき
配線がショートして短絡が発生したとき
電流が一定値を超えると、OCRが働いて遮断器(ブレーカー)を開放し、電流を止めます。

地絡継電器(GR: Ground Relay)

役割:電流の漏れ(地絡)を検知し、設備を保護する

どんなときに動作する?

電線が地面や機器の金属部分と接触し、漏電したとき
絶縁劣化により微量の電流が漏れているとき
GRが動作すると、回路を遮断し、感電事故や火災を防ぎます。

過電圧継電器(OVR: Over Voltage Relay)

役割:電圧が異常に高くなった際に機器を保護する

どんなときに動作する?

絶縁劣化により微量の電流が漏れているとき
電力会社側のトラブルで電圧が高くなったとき
高すぎる電圧は、変圧器や電子機器の破損につながるため、OVRが働いて電気を遮断します。

遮断器(VCB / ACB)

役割:異常を検知した際に、実際に電流を遮断するスイッチの役割

遮断器の種類

VCB(真空遮断器) … 高圧回路の遮断に使用
ACB(気中遮断器) … 低圧回路の遮断に使用
継電器が異常を検知すると、遮断器が動作して電流をストップします。

保護ヒューズ(高圧限流ヒューズ)

役割:異常電流が流れた際にヒューズが溶けて回路を遮断する

どんなときに動作する?

高圧回路で異常な大電流が流れたとき
遮断器が機能しない場合の最後の安全装置として働く
ヒューズが溶断することで、機器の損傷を防ぎます。

保護装置の動作フロー(例)

例えば、設備がショートした場合の保護装置の動作は次のようになります。

異常発生!(ショート)

過電流継電器(OCR)が異常を検知

遮断器(VCB)が回路を遮断し、電流をストップ!

設備が保護され、二次災害を防ぐ

このように、異常発生 → 検知 → 遮断 という流れで、安全が確保されます。

まとめ

キュービクルの保護装置は、電気設備の異常を検知し、安全を確保するための重要な役割を果たします。


過電流・地絡・過電圧などの異常を検知し、設備を保護する
過電流継電器(OCR)、地絡継電器(GR)、過電圧継電器(OVR)などがある
遮断器(VCB / ACB)が異常時に電流をストップ!
保護ヒューズは最後の安全装置として機能する

キュービクルの安全運用には、保護装置の適切なメンテナンスが不可欠です。
定期的な点検を行い、トラブルを未然に防ぐことが大切だと思います。

お読みいただきありがとうございました!
次回もキュービクルは必要か?についてお伝えしたいと思います。


キュービクルの設置にお悩みの方、何でもお気軽にご相談ください!

※キュービクル回避ネットを運営する株式会社グローアップは電力会社です。