キュービクル設置って建築確認申請に関係ある?

工場や店舗、オフィスなどで高圧受電を行うために設置される「キュービクル」。この設備を導入する際、「電気工事だけでなく、建築確認申請が必要になることがある」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
今回はキュービクルと建築確認申請の関係を解説します。

建築確認申請とは?

「建築確認申請」とは何かを簡単に説明します。
建築確認申請とは、建築基準法に基づいて、建物や工作物の建設・設置が適法かどうかを自治体などに申請・審査してもらう手続きです。
違法建築や安全性の欠如を防ぐために、一定の規模や構造を持つものはこの申請が義務付けられています。

キュービクルは建築物?工作物?

建築基準法上の建築設備としての「建築物」であり、同時に電気事業法上の「自家用電気工作物」でもあります。そのため、法律によって両方の側面から規制を受けます。 

工作物とは、建築基準法第88条において「建築物以外で、土地に定着し、ある程度の規模・恒久性をもって設置されるもの」と定義されており、たとえば以下のような例があります。

  • 広告塔
  • 擁壁
  • 煙突
  • 高架水槽
  • 電気設備(変電設備など)

キュービクルもこの「電気設備(変電設備)」に該当しうるため、条件次第で建築確認申請が必要になります

建築確認が必要となる具体的なケースは?

以下のような条件に該当する場合、キュービクル設置には建築確認申請が必要になります。

1. 屋外に設置され、かつ屋根・囲いがある場合

屋根付きのキュービクルボックス(例えば、金属製の小屋のようなもの)であれば、「簡易な建築物」と見なされる可能性が高くなります。

2. 基礎を伴う恒久設置

コンクリート基礎を設けて、地面にしっかりと固定される構造である場合は、簡易的な仮設ではなく恒久構造物として判断されるため、申請が必要になる可能性があります。

3. 高さや規模が一定以上の場合

建築基準法では、一定規模を超える工作物は申請対象となります。

敷地用途が商業施設・工場・病院などで、地域による建築制限がある場合

都市計画区域や用途地域によっては、電気設備といえども周囲の景観や安全性への配慮が必要とされ、行政指導によって確認申請が求められるケースもあります。

建築確認が不要なケース

一方で、次のようなケースでは、建築確認申請は不要とされる場合もあります。

  • 屋内に設置する場合(工場や倉庫の一角など)
  • 屋根・壁のないキュービクル(開放型)
  • 移動可能で仮設的なもの(イベント用など)

ただし、「不要」と判断するのは自己判断ではなく、地元の建築指導課や設備業者と事前相談することが必須です。

建築確認を怠った場合のリスク

建築確認が必要な条件を満たしていながら、無申請でキュービクルを設置してしまった場合、以下のような問題が発生します。

  • 工事中止命令
  • 是正指導や設備撤去の指導
  • 最悪の場合、罰金や行政処分

また、後々の建物売却や法的トラブルの際にも影響を及ぼす可能性があります。

申請は誰が行う?電気工事会社?建築士?

キュービクルの設置に関して建築確認が必要となった場合、原則として建築主が申請する義務を負います
しかし、専門知識や複雑な書類準備が必要なため、実際には建築主に代わって建築業者や設計事務所(建築士)が代理で申請を行うのが一般的です。 

キュービクル設置前には“必ず確認”を

キュービクルの設置は単なる「電気工事」ではなく、「法的・構造的な確認」が求められることがあります。

特に、

  • 屋外に設置する
  • 屋根や囲いがある
  • 規模が大きい
  • 恒久的な設置をする

といった条件に当てはまる場合は、早めに建築確認申請の有無を調べておくことが重要です。
面倒に感じるかもしれませんが、適切な手続きを踏むことで、後々のトラブルを回避し、安全・合法に運用できるようになります。

キュービクルの設置に迷ったらまずは当社にお問い合わせください!