キュービクルの温度が高くなりすぎるとどうなる?─過熱によるリスクと冷却対策を解説
夏場や熱気のこもる場所に設置されたキュービクルは、内部温度が上昇しやすくなります。
「ちょっと暑いくらい大丈夫でしょ?」と油断していると、電気設備に深刻なダメージを与えることも。
本記事では、キュービクル内部が高温になると起こるトラブルや、その予防策について解説します。
キュービクル内部の温度上昇はなぜ起こる?
キュービクルは高圧電力を低圧に変換するトランスやブレーカーなどの電気機器が収められた装置です。
これらの機器は運転中に熱を発します。
さらに以下のような要因で内部温度が上がります。
- 夏場の直射日光
- 周囲の通気不良
- 機器の長時間稼働
- 経年劣化で冷却性能が低下
特に密閉性が高く風通しが悪い設置場所では、40〜50℃以上の高温環境になることも珍しくありません。
高温がもたらす主なリスク
内部温度が高くなることで、以下のようなトラブルが発生します。
- 絶縁劣化:配線や内部部品の被覆が溶けたり割れたりし、漏電リスクが増大
- 機器の誤動作:ブレーカーやリレーが温度異常で不要な遮断を起こすことも
- トランスの焼損:冷却不足でコイルが焼け、設備が故障
- 火災発生の危険性:高温による可燃物への引火や、火花による着火
また、1年を通して高温状態が続くと、設備の寿命自体が短くなるという長期的なリスクもあります。
高温トラブルの実例
- 真夏にキュービクル内のトランスが焼損し、営業中の工場が丸一日操業停止
- 冷却ファンが故障していたことに気づかず、ブレーカーが頻繁に落ちるようになった
- 温度上昇により電子部品が膨張して基盤にひび割れが発生。修理費用が高額に
温度管理・冷却の対策方法
設備の温度上昇を抑えるための基本的な対策は以下のとおりです。
定期点検と温度監視
- 熱サーモグラフィーや温度ロガーを使い、内部温度の常時監視
- 定期点検で冷却ファンや通気口の劣化・異常を確認
遮熱・断熱の工夫
- 遮熱塗料の塗布や遮光パネルで太陽熱を遮断
- 周囲に風の通り道を確保し、自然換気を促進
冷却装置の導入
- 必要に応じて強制換気ファンや冷却用エアコンユニットを設置
- 予算や環境に応じた受変電盤冷却システムも有効
トラブルを防ぐために意識すべきこと
- 「夏前の点検」を実施し、ファンや通気口の状態を確認
- 古い設備は冷却性能が低下している可能性が高いため、改修も検討
- 設置環境によっては、機器配置の見直しも必要(高温になる部品の分散)
まとめ
キュービクルの温度上昇は、電気トラブルや火災の引き金になりかねない重大リスクです。
特に夏場は要注意。遮熱・換気・冷却の三本柱で対策を講じ、機器を長持ちさせて安全に使い続けるための環境づくりを行いましょう。
キュービクルの設置に迷ったらまずは当社にお問い合わせください!