キュービクルって火事の原因になることあるの?~設備火災のリスクと対策~

電気設備として、常に高電圧が流れているキュービクル。「あんな金属の箱が発火するの?」と驚かれるかもしれませんが、実はキュービクルが火災原因となるケースは現実にあります。本記事では、キュービクル火災の代表的な原因と、そのリスクを未然に防ぐための対策についてご紹介します。

キュービクル火災は実際に起きている?

消防庁の発表によれば、電気設備からの出火は年間で数百件発生しており、その中にはキュービクルも含まれます。特に工場や商業施設、飲食店などでの事例が報告されています。

事例
①工場の老朽キュービクルから火災。内部配線の絶縁劣化が原因。
②飲食店のキュービクルが漏電し、壁面まで延焼。
③落雷によるサージでキュービクルが損傷し、トランス部分が過熱。

火災の主な原因

1.経年劣化
・絶縁材の硬化・ひび割れにより、短絡(ショート)やスパークが発生
・金属接点の腐食による接触不良 → 発熱 → 発火

2.メンテナンス不足
・放置されたホコリ・虫の死骸が湿気と結びつき、トラッキング現象を引き起こす
・放熱ファンや換気口の詰まり → 熱がこもりやすくなる

3.施工不良・改造
・素人施工や無許可の改造によって、安全設計が崩れる
・不適切な配線やアース接続の不備

火災が起きやすい条件

・長期間使用され、交換されていないキュービクル(20年以上)
・湿度の高い場所、潮風のある地域(塩害)
・害虫・ネズミの侵入を許している構造
・定期点検・清掃が行われていない環境

火災を防ぐための基本対策

1.点検と清掃
・年次点検(1年に1回)、月次点検(電気主任技術者によるチェック)
・防塵・防湿対策(換気、密閉処理、フィルタの清掃)
・パーツの緩みや腐食の早期発見・修理

2.周囲の環境管理
・雑草や可燃物をキュービクルの周囲に置かない
・害虫侵入防止のネット・目張りを設置
・室外設置の場合は直射日光・雨風の影響を最小限にする

3.古い設備の更新
・製造から15~20年以上経過しているものは交換を検討
・特に絶縁物(ケーブル・母線・継電器)周りは寿命管理が必須

万が一の火災時に備えて

・防火塗料・不燃材で囲う設置基準を満たしておく
・自動消火装置(ガス系)の導入を検討(高温時に自動噴射)
・火災保険の対象に含める(電気設備特約)
・消防署・保険会社への定期報告

設備の安全は「所有者の責任」

キュービクルは設置した後は放置されがちですが、実はその管理責任はオーナー側にあります。

・火災事故が起きた場合、管理責任が問われる
テナントビルなどでは管理会社との責任分担を明確に
・「設置すればOK」ではなく、「安全に運用し続ける」ことが重要

まとめ

キュービクルは正しく使えば非常に安全な設備ですが、メンテナンス不足や老朽化が重なると、火災のリスクが現実のものとなります
設置から年数が経っている施設ほど、改めて安全点検を行い、必要であれば早めに更新・清掃・補強を行うことが、自社と顧客を守る第一歩です。
「何も起きないから大丈夫」ではなく、「何かが起きる前に手を打つ」こと。それが、設備火災を防ぐ最大の策なのです。

キュービクルの設置に迷ったらまずは当社にお問い合わせください!