
キュービクル回避の担当、丸山です。(国家資格:第二種電気工事士)
こちらでは、キュービクルについての情報や「キュービクル回避」について私が担当した事例などをまじえ詳細をご紹介していきます。
前回は、変圧器部についてでした。今回はキュービクルの重要な構成要素の一つであり、受電した電力を最終的に施設内の各機器や設備へ安全かつ効率的に供給する役割を担う「低圧配電部」について詳しく見ていきたいと思います。
1. 低圧配電部の役割と基本構造
低圧配電部は、高圧受電設備で一次的に受けた高電圧(通常6.6kV)をトランス(変圧器)で低電圧(100V~400V程度)に変換した後、その電力を各負荷(照明、機械、空調設備など)へ分配するセクションです。
主な役割
・受電した低圧電力を各分岐回路に分配
・過負荷や短絡などの異常時に電路を遮断して設備や人員の保護
・各回路ごとの電力使用状況の監視と管理
構造の特徴
・金属製の筐体内に収められており、感電防止のための安全設計が施されています。
・複数の配線やブレーカーが整然と配置され、容易に点検・交換が可能です。
2. 主要コンポーネント
低圧配電部は、電力の供給と安全管理のために複数の重要な部品で構成されています。
① 配線用遮断器(ブレーカー)
配線用遮断器は、過電流や短絡が発生した際に自動的に電路を遮断し、設備の損傷や火災を防止します。主に以下の種類があります。
MCCB(モールドケース遮断器): 中・大規模の負荷に使用される。
MCB(小型遮断器): 小規模の負荷や家庭用に使われる。
② 漏電遮断器(ELCB/RCD)
漏電が発生した場合に電路を遮断し、感電や火災のリスクを軽減します。感電防止や防災対策として重要です。
③ 配電バスバー
変圧器から送られた電力を各回路に均等に分配するための導体バーです。銅やアルミニウム製が一般的で、高い導電性と耐久性を持ちます。
③ 配電バスバー
変圧器から送られた電力を各回路に均等に分配するための導体バーです。銅やアルミニウム製が一般的で、高い導電性と耐久性を持ちます。
④ メーター(電力量計)
各回路ごとの電力使用量を測定するための装置。エネルギー管理やコスト削減のために活用されます。
⑤コンデンサ装置(力率改善装置)
力率を改善することで、無駄な電力の消費を抑え、電力効率を向上させます。特に大規模な設備において重要な役割を果たします。
3. 低圧配電部の設置とメンテナンス
設置時の注意点
安全基準の遵守: 電気設備技術基準やJIS規格に従い、安全性を確保します。
適切な冷却と通気: 熱のこもりを防ぐため、適切な換気スペースを確保する必要があります。
アクセスの確保: メンテナンスや緊急時の対応が迅速に行えるよう、十分な作業スペースを確保します。
定期メンテナンスのポイント
絶縁抵抗の測定: 絶縁劣化を早期に発見し、感電や火災のリスクを防ぐ。
接続部の締め付け確認: 緩みがあると発熱や火災の原因となるため、定期的な点検が必要です。
遮断器の動作確認: 遮断器の動作不良は重大な事故につながるため、定期的な試験が求められます。
4. 低圧配電部の安全対策
① 感電防止対策
遮断器カバーの設置: 直接触れないように絶縁カバーを取り付けます。
アース接続の徹底: すべての金属部分を確実に接地し、感電リスクを最小限に抑えます。
② 火災予防
過負荷防止: 設計段階で適切な容量を見積もり、過負荷を避けます。
温度監視システムの導入: 過熱を早期に検知して火災を防ぐシステムを導入することが推奨されます。
③ 緊急対応計画
停電時のマニュアル: 迅速な対応が可能となるよう、停電や異常時の対応マニュアルを整備します。
定期的な避難訓練: 万一の事態に備えて、関係者の避難訓練を実施します。
まとめ
低圧配電部は、施設内の各種機器や設備へ安全かつ効率的に電力を供給する中核的な役割を果たします。その設計・設置からメンテナンスまで、適切な管理と安全対策が求められます。適切な知識と対応によって、事故のリスクを最小限に抑え、安定した電力供給を確保することが可能です。
このように、低圧配電部は電気設備の安全性と効率性を支える重要な要素です。正しい理解と適切な管理で、施設全体の電力インフラを強固にすることが大切になります。
お読みいただきありがとうございました!
次回もキュービクルは必要か?についてお伝えしたいと思います。


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※キュービクル回避ネットを運営する株式会社グローアップは電力会社です。