電力会社との関係でキュービクルって何か変わるの?
「キュービクルって電力会社のものじゃないの?」「保守はどこまでやってくれるの?」
意外と誤解が多いのが、キュービクルと電力会社の関係です。
実際には供給点を境に、責任範囲と管理義務はハッキリ分かれています。本記事では、高圧受電契約における役割分担、供給点の考え方、連系協議のポイントをわかりやすく整理します。
キュービクルは誰のもの?
まず大前提として、キュービクルは基本的に需要家(利用者側)の所有物です。
電力会社は供給点(引込開閉器)までの電線と電柱は所有・管理しますが、その先は需要家が管理します。
供給点ってどこ?
電力契約では「供給点」という考え方があります。
- 電力会社からの電力供給の責任は供給点まで
- キュービクル内の保護継電器や変圧器以降は需要家が責任を持つ
つまり、供給点=キュービクルの入り口が境界線です。
一般的に電力会社からの電力供給における責任の範囲は、「責任分界点」で区切られます。責任分界点は、電力会社と需要家の責任範囲を明確にするための点で、この点を境に、電力会社の責任範囲と需要家の責任範囲が分かれます。
保守管理の責任範囲
キュービクルは所有者が保守する義務があります。
- 年次点検や修理、部品更新は需要家側の費用負担
- 法令に基づく保安管理は電気主任技術者の専任・外部委託で対応
「電力会社が見てくれるから大丈夫」と思っていると大きなトラブルの元になりますのでここをしっかり確認しておくことが大切です。
電力会社と相談が必要になるとき
こんなときは電力会社と連携が必須です。
- キュービクルの新設・増設・容量変更
- 太陽光発電など逆潮流を発生させる場合
- 契約電力の増減で高圧契約条件が変わるとき
電力会社と発電設備設置者が、発電設備を電力系統に接続する際に、電力品質や供給信頼度を確保するために行う技術的な協議のことです。
具体的には、電圧・周波数・逆潮流・保護装置など、系統全体の安定運用に関わる事項について、事前に詳細な検討と合意形成を行います。
電力会社に頼めること・頼めないこと
頼めること
- 供給点までの設備点検
- 電気の供給・系統安定化
- 緊急の送電停止依頼
頼めないこと
- キュービクル内部のメンテナンス・修理
- 法定点検の実施
- 経年劣化対応や更新計画
電力会社との契約条件を見直すタイミングは?
- 高圧→低圧へ切り替えたい
- 新店舗オープンなどで電力量が変わる
- 太陽光発電など自家発電を組み込みたい
これらのときは、専門の電気工事会社やエネルギーコンサルタントと連携しながら進めるのがスムーズです。
まとめ
「電気は電力会社が全部面倒見てくれる」は大きな誤解です。
高圧受電設備(キュービクル)は供給点を境に、所有と責任は需要家にあると理解することが、リスク管理の第一歩です。
電力会社と協議が必要な場面では、保安協会・電気主任技術者・設計士と連携し、適切な形で連系を進めることが、安定供給とコスト管理につながります。
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