キュービクルの構造について Vol.2

キュービクル回避の担当、丸山です。(国家資格:第二種電気工事士)
こちらでは、キュービクルについての情報や「キュービクル回避」について私が担当した事例などをまじえ詳細をご紹介していきます。


前回、「キュービクルの構造」についてお伝えしていました。
今回は構造について細かく見ていきたいと思います!

キュービクルは、いくつかの重要な機器で構成されていることは前回お伝えしました。主に以下のものに分けれらます。
・高圧受電部
・変圧器部
・低圧配電部
・保護装置

今回は、この「高圧受電部」について説明したいと思います。

キュービクルの構造

高圧受電部の役割

高圧受電部は、電力会社から供給される高圧電力(6.6kVなど)を受け取り、キュービクル全体に配電するための「玄関口」となる部分です。この部分が正常に機能しなければ、後続の電力変圧や分配も行えなくなるため、電力供給の根幹を担う重要なパートです。

高圧受電部の主な役割は以下の通りです:

  1. 高圧電力の受電: 電力会社から直接供給される高圧電力を受け入れる。
  2. 安全な遮断機能: 電力系統に異常が発生した際に、障害が広がらないよう電力供給を遮断する。
  3. 制御と保護: 変圧器や低圧配電盤など、後続の設備を保護する役割を果たす。

高圧受電部の構成

高圧受電部は複数の重要なパーツで構成されています。それぞれの役割を以下に説明します。

1.高圧引込ケーブル
電力会社から供給される高圧電力が最初に流れ込む部分です。このケーブルは、外部からの影響を受けにくいように頑丈な絶縁体で覆われています。

2.開閉器(負荷開閉器や真空開閉器)
開閉器は高圧電流を開閉する装置であり、設備のメンテナンスや故障時に電流を遮断する役割を持ちます。主に以下の2種類が用いられます。
負荷開閉器(LBS, Load Break Switch)
通常の負荷電流を安全に開閉できるスイッチです。
真空遮断器(VCB, Vacuum Circuit Breaker)
高圧回路において短絡や過負荷が発生した場合に動作し、安全に回路を遮断します。

3.避雷器
雷や電力系統の過電圧からキュービクル内部の機器を守るための装置です。避雷器が過電圧を吸収することで、設備の故障や火災を防ぎます。

4.計器用変成器(PT, CT)
計器用変成器は、電圧や電流を測定するために使用されます。主に次の2種類があります。
PT(Potential Transformer)
高圧を低電圧に変換し、電圧計や保護リレーに供給します。
CT(Current Transformer)
高電流を小さな電流に変換し、電流計や保護リレーに供給します。

5.保護リレー
異常電流や短絡を検知し、遮断器を動作させるための装置です。高圧受電部全体の安全を確保する重要な役割を持っています。

6.電力量計
高圧受電部で受け取った電力の使用量を測定する装置です。これにより電力使用量を正確に管理し、電力会社との請求調整が可能になります。

高圧受電部の保守と点検の重要性

高圧受電部は非常に高い電圧を取り扱うため、事故やトラブルが発生すると施設全体に重大な影響を及ぼします。そのため、定期的な点検や保守が必要です。以下は、主な保守内容の例です。

外観点検: ケーブルの破損や異常発熱がないか確認。
絶縁測定: 絶縁性能が正常かどうかチェックする。
機能試験: 開閉器や保護リレーが正しく動作するか確認。
清掃: 汚れやホコリが絶縁不良を引き起こすことを防ぐため、清掃を行う。

トラブル事例と対応策

1. 過電圧が発生した場合
避雷器が正常に機能しているか確認し、不良箇所があれば交換します。

2. 遮断器が動作しない場合
遮断器や保護リレーの動作テストを実施し、原因を特定します。接点の摩耗やトリップ機構の故障が主な原因となる場合が多いです。

まとめ

高圧受電部は、キュービクルの心臓部とも言える存在であり、安全かつ安定した電力供給の要です。そのため、日々の運用管理だけでなく、定期的な点検とメンテナンスを徹底することが求められます。企業や施設の電力トラブルを防ぐために、設備管理者は高圧受電部の仕組みを深く理解しておくことが重要です。

お読みいただきありがとうございました!
次回もキュービクルは必要か?についてお伝えしたいと思います。


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※キュービクル回避ネットを運営する株式会社グローアップは電力会社です。